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キノコ・カビの研究史

人が菌類を知るまで

G・C・エインズワース/小川 眞 訳

A5上製・418頁

ISBN: 9784876989355

発行年月: 2010/10

  • 本体: 4,000円(税込 4,400円
  • 在庫あり
 
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内容

菌学研究の歴史は世界的にもきわめて短く、わが国では菌学はまだ「未科学」の状態にある。本書は菌学の歴史を紹介した世界で初めての書であり、以来高い評価を得ており、おそらく今後類書が出ることはあっても、これほど広範に文献を渉猟し、その内容を一冊にまとめることができる科学史家は出ないと言われる。

書評

『日本農業新聞』'10.12.6「読書面」
『日経サイエンス』'11年2月号、123頁
『サンデー毎日』'11.2.6号、110頁

プロフィール

著者略歴 G. C. エインズワース
1905年イギリス、バーミンガム生まれ。1930年ノッチンガム大学卒、植物学、薬学専攻。研究奨励賞を受賞して植物病理学に興味を抱く。1930—1931、ロザムステッド農事試験場、1931—1939、チェストナット試験場でウイルスの研究に従事。1937年、ロンドン大学でph Dを取得。後にキュー王立植物園の菌学研究所長となる。1998年没。菌学者、植物病理学者、科学史家として世界的に著名。
本書のほか、The Plant Diseases of Great Britain, Introduction to the History of Medical and Veterinary Mycology, Dictionary of Fungi など著書多数。

訳者略歴 小川 眞(おがわ まこと)
1937年京都生まれ。京都大学農学部卒、農学博士、林業試験場土壌微生物研究室長等。1991年森林総合研究所退職。環境総合テクノス生物環境研究所長を経て、現在大阪工業大学環境工学科客員教授、「白砂青松再生の会」「日本バイオ炭普及会」会長等。日本菌学会名誉会員。「日本林学会賞」「ユフロ学術賞」「第8回日経地球環境技術賞」「日本菌学会教育文化賞」「愛・地球賞」(愛知万博)などを受賞。
著書に『マツタケの生物学』『菌を通して森を見る』『キノコの自然誌』『作物と土をつなぐ共生微生物』『炭と菌根でよみがえる松』『森とカビ・キノコ—樹木の枯死と土壌の変化』、訳書に『不思議な生き物カビ・キノコ—菌学入門』『チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話—植物病理学入門』等。

目次

まえがき
謝辞

1 序論
  菌学の発展とその方向
2 菌類の発生とその位置づけ
  発生・初期の見方
  発生・1700—1850年
  菌類の位置づけ
  多形性(プレオモルフィズム)
  二形性(ダイモルフィズム)
  分類学上の位置づけ
3 形態と構造
  高等菌類の外部形態
  微小(下等)菌類
  高等菌類の微細構造
  形態形成
4 培養と栄養摂取
  ミケーリの観察
  腐生菌、共生菌、寄生菌
  木材腐朽
  地衣類
  菌根
  純粋培養
  代謝と代謝産物
5 雌雄性、細胞学および遺伝学
  雌雄性
  細胞学
  ヘテロタリズム
  菌じん類
  サビキン類とクロボキン類
  子嚢菌など
  遺伝学
  胞子形成と雌雄性の生理学と生化学
6 病原性
  植物に対する病原性
  植物における疾病の分類
  コムギ網なまぐさ黒穂病
  コムギ黒サビ病
  自然発生論者と病原体論者
  植物病理学の発展
  宿主・寄生者相互作用
  寄生の生理学
  殺菌剤
  人と動物に対する病原性
  全身性真菌症
  重複寄生菌
7 有毒、幻覚性、アレルギーに関わる菌類
  人と動物に対する菌類の毒性
  マイコトキシン中毒症
  麦角中毒
  家畜のマイコトキシン中毒
  菌の植物毒素
  幻覚性キノコ
  菌によるアレルギー
  胞子の放出
  飛散胞子
  カビアレルギー
8 菌類の利用
  食品として
  発酵
  食用酵母
  チーズ
  医薬として
  麦角(エルゴット)
  抗生物質
  産業として
  有機酸
  脂肪
  酵素
  ステロイドの変換
9 菌類の分布
  地理的分布
  生態的分布
  土壌菌
  粘菌
  洞窟や鉱山、穴蔵などの菌類
  水生菌
  昆虫など、無脊椎動物との関係
  地衣類
10 分類
  リンネ以前
  リンネ
  リンネ以後
  ペルズーン
  フリース
  フリース以後
  種名の分化
  近年の傾向
11 菌学と組織
  菌学の文献
  教科書
  学術雑誌
  二次出版物
  大学
  学会
  標本館
  培養菌株の保存(カルチャーコレクション)
  命名法
エピローグ


年表および参考文献
訳者あとがき
人名索引
種名索引
事項索引
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