太陽地球系科学

地球電磁気・地球惑星圏学会 学校教育ワーキング・グループ 編

菊上製・314頁・税込 3,672円
ISBN: 9784876989713
発行年月: 2010/05
在庫あり
★地球が今ある姿となった理由を解き明かす★
[推薦]中村正人(宇宙科学研究所教授・金星探査機あかつき衛星主任)
日本が打ち上げる金星探査機“あかつき”が解き明かすのは地球の兄弟星の様子だが,2つの惑星は現在全く異なった環境を有する。それは母なる星太陽が及ぼす影響が,地球と金星では異なるからだ。本書を読むと太陽と地球の関係が良く判るが,それは翻っては兄弟星金星を理解することにも繋がる。太陽が全てのエネルギーの源となっている事から説きはじめ,コロナ,太陽風,さらにはそれが到達する地球磁気圏,大気,地球内部へと,物事の流れを理路整然と述べており,地球が今ある姿となった理由を解き明かす好著である。

★オゾンホール,宇宙天気予報……これからの時代に必要な科学★
[推薦]武田康男(第50次日本南極地域観測隊)
南極に1年間いて気が付いたこと,それは太陽があっての地球だということです。極夜になると暗い夜が続き,上空まで気温が下がった後,オゾンホールができます。白夜には太陽が照らし続け,人間は日焼けし,雪は昇華して消えていきます。また,昭和基地上空に見られるオーロラも,太陽活動により変化しました。現在は人工衛星のみならず,人間も大気圏外に進出するようになり,宇宙天気予報が重要になっています。これからの時代に必要な太陽地球系科学の知識について,基礎から詳しく知ることができる本書を多くの方々に推薦します。

内容

太陽と地球の諸現象——個別科学として研究されてきた事柄を統一的に捉え、情報通信や宇宙開発での障害、オゾンホールや温暖化、気候変動等、幅広い課題に答える新しい学問を、学界・教育界の総力で体系化。「安定ではない、激しく変動する太陽—地球環境」という斬新な視点を、豊富なカラー図版とともに提供する。地学関係者必携。

目次

はじめに

第I部 新しい太陽像

第1章 太陽からくる光
 1.1 虹・スペクトル
 1.2 電磁波
 1.3 黒体放射と太陽の表面温度
 1.4 輝線スペクトルと吸収スペクトル
 1.5 太陽の構成元素

第2章 太陽のエネルギー源と内部構造
 2.1 太陽のエネルギー源は何か
 2.2 太陽ニュートリノ問題
 2.3 太陽の内部構造
 2.4 太陽の鼓動(日震学)

第3章 太陽の大気(光球,彩層,コロナ)
 3.1 太陽大気の構造
 3.2 光球
 3.3 太陽黒点
 3.4 彩層とコロナ

第4章 太陽大気の嵐
 4.1 磁気再結合(磁気リコネクション)
 4.2 太陽フレア
 4.3 大規模なコロナの爆発現象:CME

第II部 太陽地球環境

第5章 惑星間空間を吹く太陽風
 5.1 太陽風の発見
 5.2 惑星間空間磁場
 5.3 CMEの伝播
 5.4 太陽風の長周期変動

第6章 磁気圏—惑星間空間に出来た固有宇宙
 6.1 磁気圏の形成
 6.2 磁気圏尾部
 6.3 磁気圏のプラズマ
 6.4 オーロラ

第7章 磁気圏サブストームと磁気嵐
 7.1 オーロラ・サブストーム
 7.2 オーロラ・ジェット電流
 7.3 磁気圏サブストーム
 7.4 磁気嵐

第8章 太陽と地球大気・地球環境
 8.1 地球大気の温度構造
 8.2 地球の熱収支と気温
 8.3 太陽と気候変動
 8.4 オゾン層の形成と破壊

第9章 宇宙空間と人間
 9.1 宇宙空間の利用・宇宙天気
 9.2 宇宙航行に伴う放射線被曝

第III部 地球内部電磁気

第10章 地球の磁場
 10.1 地磁気の性質
 10.2 磁気異常と古地磁気
 10.3 過去の地磁気変動
 10.4 古地磁気の利用法

第11章 地球内部の電気伝導度構造
 11.1 地球の層構造
 11.2 地球の電気伝導度
 11.3 新しい発見〜地球深部の水
 11.4 マントルの部分溶融

第12章 地球ダイナモ
 12.1 地球磁場の起源
 12.2 円板ダイナモモデル
 12.3 地球ダイナモのエネルギー源と地球の歴史
 12.4 回転球殻中の対流
 12.5 磁場生成過程

付録A:太陽地球系科学年表
付録B:太陽地球系科学で使う物理
用語集
結びと謝辞
索 引
執筆者紹介

プロフィール

小原隆博(おばら たかひろ)
1957年生まれ,東北大学理学部卒,同大学院理学研究科修了。1985年理学博士。文部省宇宙科学研究所助手,郵政省通信総合研究所室長,独)情報通信研究機構グループ長などを経て,現在,独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙環境グループ長。専門は,宇宙環境科学。2004年に田中館賞。著書に,宇宙環境科学(オーム社,共著),Science of Space Environment(オーム社,共著)など。

五家建夫(ごか たてお)
1944年生まれ。東京都立大学理学部卒,1999年システムズ・マネジメント博士,宇宙開発事業団入社(第1期生),マサチューセッツ工科大学の宇宙研究センター(宇宙実験研究室)で交換研究員として衛星設計の研究をへて,現在,宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙環境グループの招聘主幹研究員,専門分野:宇宙環境計測,宇宙環境による衛星の障害の研究,技術士(航空・宇宙分野),著書に,宇宙環境リスク事典(丸善出版)など。

北 和之(きた かずゆき)
1963年生まれ。東京大学理学部卒,同理学系研究科修了。1991年理学博士号取得(東京大学)。東京大学助手を経て,現在,茨城大学理学部准教授。専門は,大気物理化学,大気環境科学。主に,オゾンや窒素酸化物,エアロゾルなど,大気環境に大きな影響を与える物質の観測を通じ,その変動を研究している。著書に,キーワード気象の事典(新田尚,伊藤朋之,住 明正,木村龍治,安成哲三編,「対流圏光化学」を担当,朝倉書店),アサヒ・エコ・ブックス『地球変動研究の最前線を訪ねる』(小川利紘,及川武久,陽捷行編,清水弘文堂書房)など。

渋谷秀敏(しぶや ひでとし)
1955年生まれ。大阪大学基礎工学部卒,同大学院基礎工学研究科修士課程修了。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。1983年理学博士。大阪府立大学総合科学部助手,熊本大学理学部助教授,熊本大学理学部教授を経て,現在,熊本大学大学院自然科学研究科教授。専門は,地磁気・古地磁気・惑星磁気。

藤 浩明(とう ひろあき)
1961年生まれ。東京大学理学部卒,同理学系研究科修了。1993年理学博士号取得(東京大学)。東京大学助手,英国ケンブリッジ大学理論地球物理研究所客員研究員等を経て,現在,京都大学大学院理学研究科准教授。専門は,地球電磁気学及び海洋底物理学。主に,海底電磁気観測を通じ,地球内部の電気物性や地磁気原因論を研究している。著書に,ジュニア版 日本海読本〜日本海から人類の未来へ(伊東俊太郎監修),角川書店,2004など。

中井 仁(なかい ひとし)
1951年生まれ。神戸大学理学部卒,同理学研究科修了。1988年理学博士号取得(京都産業大学)。1978年大阪府立牧野高校赴任。豊島高校,茨木高校を経て,現在,大阪府立茨木工科高校教諭。教科・科目は理科・物理および地学。専門分野は磁気圏物理学。1995年田中舘賞受賞。地球惑星科学連合・教育問題検討委員会委員。著書「宇宙通信—高校生へのサイエンス・レター」(私家版),編著書「検証『共通1次・センター試験』」(大学教育出版)。

橋本武志(はしもと たけし)
1968年生まれ。京都大学理学部卒,同大学院理学研究科修了。1996年京都大学博士(理学)。京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター助手を経て,現在,北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター准教授。専門は地球電磁気学および火山物理学。

町田 忍(まちだ しのぶ)
1952年生まれ。東京大学理学部卒業,同大学院理学系研究科修了。1982年理学博士号取得(東京大学)。米国アイオワ大学物理天文学科研究員,文部省宇宙科学研究所助手,京都大学理学部助教授を経て,現在,京都大学大学院理学系研究科教授。専門は,磁気圏物理学。1989年に田中舘賞受賞。地球惑星科学連合・教育問題検討委員会委員。著書に,Physics of Magnetic Reconnection in High-Temperature Plasmas(Research Signpost社,2004,共著)。

松島政貴(まつしま まさき)
1963年生まれ。東京工業大学理学部卒,同理工学研究科修了。1991年理学博士号取得。1992年東京工業大学理学部地球・惑星科学科助手。現在,東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻助教。専門分野は地球惑星電磁気学。

渡邉 堯(わたなべ たかし)
1941年生まれ。1967年京都大学大学院修士課程修了。名古屋大学空電研究所助手として天体電波源シンチレーション観測による太陽風研究を行い,次いで名古屋大学太陽地球環境研究所助教授として,データベースによる太陽地球系現象の総合解析の推進を行う。1994年より茨城大学理学部教授を務め,2006年に定年退職。現在は名古屋大学太陽地球環境研究所客員教授として,国際科学会議(ICSU)世界データセンター機構(WDS)の科学組織委員などを務めている。1985年に田中舘賞を受賞。各種辞典の太陽・太陽風関係の項目執筆の他,訳書(共訳)に「太陽からの贈り物」(丸善)「太陽—その素顔と地球環境との関わり」(シュプリンガー・フェアラーク東京)がある。