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海の「京都」

日本琉球都市史研究

高橋 康夫

菊上製, 1200 pages

ISBN: 9784876988761

pub. date: 06/15

  • Price : JPY 11,300 (with tax: JPY 12,430)
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内容

日本の京都と琉球の首里は、東アジア中世の代表的な「京都」(首都)でありながら、都市壁を持たないなど、北京やソウルといった大陸の都市と大きく異なる点を持つ特徴的な都市である。これら“海の「京都」”の空間構造を読み解くことで、日本中世の都市像とその形成史に迫り、東アジア中世都市の普遍性と多様性を明らかにする。

書評

『日本歴史』2016年8月号、102-104頁、評者:小島道裕氏

プロフィール

髙橋 康夫(たかはし やすお)

1946年生。1969年京都大学工学部建築学科卒業、1971年京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。工学博士。1971年京都大学助手、講師、助教授を経て、1995年教授。2010年3月定年退職、4月京都大学名誉教授、花園大学教授。
主な著書に『京都中世都市史研究』(思文閣出版)、『建具のはなし』(鹿島出版会)、『洛中洛外―環境文化の中世史』(平凡社)、『日本都市史入門Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(共編著、東京大学出版会)、『図集 日本都市史』(共編著、東京大学出版会)、『京町家・千年のあゆみ』(学芸出版社)、『京・まちづくり史』(共編著、昭和堂出版)などがある。
受賞:1994年日本建築学会賞(論文)、2002年建築史学会賞

目次

序 章
 一 本書の概要 
 二 東アジア中世の「京都」
 三 日本の中世都市像
 コラム1 道は「公界」
 コラム2  京都の空間構造

第一部 海の「京都」の空間構造 ―土地と社会と空間形成

第一部 はじめに
Ⅰ 京都
第一章 中世の巨大都市・京都 ―空間構造と社会
 一 室町期京都の特色
 二 室町期京都の空間形成
 三 都市空間の形態と構造
 コラム3 寄合と雑談の建築
第二章 日本中世の「王都」 
 一 「京都」へ
 二 「王都」の成立
 三 「王都」の展開
 四 武家の「王都」
 コラム4  平泉
第三章 足利義満の「王都」 ―大規模開発と地域空間形成
 一 内裏と仙洞
 二 室町殿
 三 相国寺
第四章 中世「王都」の解体 ―上京の地域形成
 一 将軍御所と地域空間形成
 二 上杉本洛中洛外図屏風にみる室町殿と細川殿
 三 細川殿と上京の地域空間形成
第五章 織田信長と京の城―近世都市・京都へ
 一 義輝の城―都市支配の城の出現
 二 天下人信長と「武家の城」
 三 「武家の城」の歴史的意義
第六章 豊臣秀吉の「王都」 
 一 秀吉の政権構想と「首都」
 二 京都〈首都城下町〉の大造営
第七章 京・まちづくり史
 一 京都人の誕生と「住みこなし型まちづくり」―平安時代〜室町時代
 二 まちづくりの担い手・町衆の誕生と「計画型まちづくり」―戦国時代
 三 町人と「町(ちょう)」の「計画型まちづくり」―安土桃山時代・江戸時代
小論1  京の通り名
 一 京の通り名の歌
 二 通り名の歌は何を物語っているか
 三 「通り」はいつ生まれたのか
 四 町小路から新町通りへ
 コラム5  四条綾小路―祇園祭と町・町家
第八章 生業と地域空間形成
 一 表長屋の同業者店舗
 二 中世前期の市と町
 三 町座とその施設
 四 立売の展開
 コラム6 京都・六角町―「まち」から「ちょう」へ
 コラム7 扇の座―製作と商いの場
 コラム8 茶屋―町衆文化の一断面
小 結 
 一 義満と秀吉の「王都」
 二 武家政権の「首都」 
Ⅱ 首里・那覇
第九章 「王都」首里の大規模都市開発
 一 琉球王国の成立と王都の荘厳
 二 禅宗寺院の状況―鐘銘を素材として
 三 禅宗寺院と国家・王権
第一〇章 「浮島」那覇の造営と地域形成
 一 浮島はげらえて―造成された「那覇」 
 二 「那覇」の造営と首里王権
 三 十五世紀那覇島の諸相  
第一一章 那覇の三つの天妃宮―成立と展開、立地をめぐって
 一 久米村と上天妃宮
 二 天妃宮の外交機能
 三 天妃宮の所在地
 四 天妃宮の創建
 五 天妃宮の変遷
第一二章 波上権現護国寺の再興
 一 近世の波上権現・護国寺―問題の所在
 二 波上権現の再興
 三 護国寺の再興
付論 補陀落渡海僧日秀上人と琉球―史書が創った日秀伝説
 一 近世琉球と日秀
 二 金峰山三所大権現の創建―日秀の漂着地とその時期
 三 波上権現の再興と日秀
 四 日秀と那覇・首里・浦添における事蹟
小 結
 一 首里・那覇の並列性・二重性
 二 首里・那覇の社会・文化・空間の構造(双対性)
第一部 おわりに  
 一 平泉と京都―都城から中世都市へ
 二 平泉・衣河と首里・那覇―北と南の国際都市
 三 京都と首里―琉球と日本の「京都」 
 四 東アジア(ユーラシア)都市史のなかの海の「京都」

第二部 海の「京都」と自然

第二部 はじめに
Ⅰ 京都
第一章 京都と山並み
 一 古代日本の山・山並み
 二 都城と山・山並み
 三 平安京と山・山並み
 四 都市生活の発展と自然―五山の送り火を素材として
第二章 京都と名所の形成
 一 平安京と名所
 二 「花の都」
 三 「面白の花の都」
 四 都市と名所をみる視点
第三章 「市中の山居」と京町家の庭
 一 京町家の庭
 二 前栽や坪庭はどのように成立したのか
 三 「市中の山居」と「下京茶湯」
 四 「市中の山居」の意味
第四章 京都―中世日本の環境都市
 一 資源としての町家
 二 洛中と洛外の共生―路上の公衆便所をめぐって
第五章 慶長大地震と京都・伏見
 一 慶長大地震と京都
 二 慶長大地震と伏見・伏見城
第六章 平安京・京都と危機
 一 古都京都と災害
 二 「水の都」平安京・京都
 三 内乱と天変地異と京都の危機
Ⅱ 首里・那覇
第七章 古琉球の禅宗寺院とその境致
 一 那覇の禅院の〈境致〉―「中山八景」
 二 円覚寺と「円覚寺八景」
第八章 首里・那覇とその八景
 一 八景の伝来と受容
 二 那覇の八景―都市八景の創出
 三 首里の八景―都市八景の定着
 四 八景の持続と展開
第九章 東苑とその八景
 一 創建期の東苑
 二 能仁堂―仏堂から書院へ
 三 東苑八景の成立
第一〇章 同楽苑とその八景
 一 問題の所在
 二 蔡文溥による同楽苑の詩文
 三 同楽苑とその八景の特色―結びにかえて
第一一章 首里・那覇の風景―胡靖『琉球記』から
 一 胡靖撰『琉球記』(『杜天使冊封琉球眞記奇観』)
 二 琉球図の変遷―琉球過海図から使琉球図へ
 三 描かれた首里・那覇―絵画史料としての胡靖「琉球図」
第二部 おわりに
 一 都市と自然
 二 東アジアの環境文化―〈八景〉と〈十境〉

第三部 居住環境の中世史

プロローグ―集落・都市のはじまり
第一章 中世的都市空間の創出
 一 平安京から京都へ
 二 平城京から奈良へ
 三 東国の「都」
 四 都市住居の成立
第二章 荘園領主の都市・京都
 一 京都の都市的発達
 二 荘園領主の邸宅
 三 住空間の分化と発展
第三章 地方の都市と農村
 一 武家の首都・鎌倉
 二 国衙・守護所
 三 地方武士の住居
 四 津・宿・市・町
 五 農村と住居
第四章 巨大都市・京都
 一 南北朝・室町期の都市発展
 二 喫茶の空間の展開―都市文化の発展
 三 会所とその発展―書院造の形成へ
 四 十境―環境造形の思想
第五章 首都圏とその文化の形成
 一 三都の発展
 二 住空間構成の変質
 三 草庵の伝統と茶屋の文化
第六章 近世都市の胎動
 一 畿内近国の村と町
 二 地方都市の展開
 三 織豊政権と近世都市化
小論2  将軍御所の壇所―雑談の場として
 一 武家護持僧と壇所
 二 義教と月次壇所
 三 将軍御所と壇所
小論3   聚楽第と「唐獅子図屛風」
 一 聚楽第の大造営と後陽成天皇行幸
 二 聚楽第の大広間
 三 狩野永徳の「唐獅子図屏風」
 四 「唐獅子図」を飾る御殿 
結 章 都市史研究とまちづくり
 一 「まちづくり史」とは
 二 京都らしい都市景観とその継承
 三 京都・岡崎の文化的景観―京都のなかの岡崎
 四 京都・祇園祭山鉾町の文化的景観―京町家とまちづくり
 五 都市・建築史学と文化的景観

あとがき

初出一覧
図版・写真一覧
索引(事項索引/地名索引/人名索引)
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